デンケンはEMCの試験場を2020年に開所しました。
全国の試験場の中では新しい部類に入りますが、すでに多くの企業様からさまざまな依頼を受託し、着実に実績を積み重ねています。
なぜデンケンの試験場が選ばれるのか?
それは他にはない強みを複数持っているからです。
今回はデンケンが選ばれる理由=弊社の強みについて掘り下げてご紹介していきたいと思います。
Contents
強み①:47年の実績。EMC試験以外もサポートできます
半導体開発、半導体設計、パッケージング、各種検査、解析、信頼性/製品認定試験、研究開発など
デンケンは、EMC試験だけでなく、半導体の開発から各種認定試験、故障解析までトータルでサポートすることができます。
「2020年開所で?技術的に大丈夫なの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、2020年開所なのはあくまで試験場の話。
デンケン自体は1975年に創業し、長年半導体関連事業に携わってきました。
その実績は多岐に亘り、現在は国内だけでなく、海外からも多くの信頼を得るに至っています。
EMC試験を行う「エレクトロニクス事業部」は、元々半導体の開発から、設計、組立、パッケージング、検査、解析、信頼性/製品認定試験、研究開発までフルターンキーで対応している事業部です。
つまり、2020年に開所していきなりトータルサポートできるようになった訳ではなく、元々トータルサポートできるだけの土壌と実績があるのです。
エレクトロニクス事業部のサービスの一部
[半導体設計]
OAD-TECにてIC開発の設計工程を担当し当事業部が後工程を担当することで、デンケングループとして一貫したフローで開発を進めることができます。
▶︎詳細はコチラ
[検査]
<外観検査、非破壊検査(X線検査/SAT検査)、破壊検査(断面検査)>
人の視覚を利用した目視検査、装置を使用した外観検査、部品内部を確認するX線検査などの各種検査を通じてお客様の大事な製品の品質保証代行を行っています。
▶︎詳細はコチラ
[解析]
<断面FIB解析、STEM解析、FIB回路修正、断面研磨/平面研磨、開封観察/剥離解析、電気特性解析、OBIRCH・EMISSION解析、非破壊検査(X線検査/SAT検査)>
破壊・非破壊問わず幅広い解析手法を用いて、半導体の不具合や不良に関する調査・解析をサポートします。
▶︎詳細はコチラ
[信頼性/製品認定試験]
<AEC、JEDEC>
製品の機能、性能、耐環境性、信頼性、安全性を確認するための評価試験を受託しています。お客様からの情報を基に試験内容のご提案から、試験に必要な評価基板製作や部材・冶具の手配、パートナー企業との連携試験など、ターンキー・サービスでのご提供が可能です。
- 高温保存試験(HTST)
- 高温動作寿命試験 (HTOL)
- 高温高湿(TH)
- 高温高湿通電試験(THB)
- 温湿度サイクル試験(TH Cycle)
- イオンマイグレーション試験パワーサイクル試験(PWC)
- 断続通電試験(IOL)
- 温度サイクル試験(TC)
- パワー温度サイクル試験(PTC)
- 接合信頼性試験(BLR)
- 液槽冷熱衝撃試験(TS)
- 高温高湿バイアス超加速試験(HAST)
- 高温高湿超加速試験 ・Autoclave(uHAST)
- 半田耐熱性試験(MS-Level)
- ESD試験(MM・HBM)
- ESD試験(CDM)
▶︎各種詳細はコチラ
[研究開発支援(CAE受託解析・製品開発支援サービス)]
熱応力,振動,落下衝撃,熱伝導,電磁場など,あらゆる物理現象に対応しています。
▶︎詳細はコチラ
エレクトロニクス事業部の実績
- 年間総取引数2,000件
小さな案件から大きなプロジェクトまで、あらゆるご要望にお応えしています。
- 車載分野における豊富な経験
ISO17025の認定試験所です。電子化が進む自動車のデバイス技術開発に多くのお客様からお役立ていただいております。
- 内製装置による試験
社内連携による装置開発から実作業までの一貫請負は、内部調整でタスクが進むため、お客様の手を煩わせることなく、目標の早期実現が可能です。
このように、トータルでサポートできる試験場は全国的にも非常に稀です。ほぼないといっても過言ではありません。
セキュアな環境とスピーディーな対応に加え、長年培ったエレクトロニクスの知見でご要望にお応えいたしますので、どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。
強み②:全国的にも対応サイトが稀な「半導体試験」も行います
自動車に数多くの半導体デバイスが搭載されるようになった昨今、EMC性能の確保は必須となりつつあります。 2021年5月に「JASO D019(自動車用半導体EMC性能等価性試験法)」が規格化されて以降、その注目度はますます高まっているといえるでしょう。
しかし、現在、半導体試験に対応できる独立試験サイトは全国的に見てもほとんどありません。
強み①でご紹介したようにデンケンは長年半導体関連事業を行っており、「半導体のEMC試験」に強い試験場として高い評価を受けています。
「JASO D019(自動車用半導体EMC性能等価性試験法)」に関しては、
- 規格の暫定版を基に測定のお手伝い
- 規格制定のために評価のお手伝い※1
をさせていただきました。
※1. 2021年春、JAMA(自動車工業会)に提出した弊社の測定結果が採用されました。
▶︎半導体のEMC試験についての詳細はコチラ
強み③:高い技術と柔軟な考えを持ったスタッフが臨機応変に対応します
現在20名ほどいる試験場のスタッフは個性派揃いです。経歴も、こだわりもさまざまですが、全員に共通している“思い”や“考え”があります。
ここではその中でデンケンの強みにつながる代表的なものを2つご紹介させていただきます。
1. 強い責任感、使命感を持って、EMC試験に臨んでいます
EMC試験では絶対にミスが許されません。一つでも評価に誤りがあれば動作不良を起こし、大事故につながる恐れがあるからです。
そのため、デンケンのスタッフは“人命を左右する部分を担っている”ということを常に意識し、慎重かつ誠実に業務に当たっています。
そして、目に見える信頼の証として、スタッフの「iNARTE」資格取得に力を入れています。
iNARTEとは
アメリカの非営利団体であるiNARTE(International Association for Radio, Telecommunications and Electromagnetics)が、1988年に創設した、EMCの技術、スキルを認証するグローバルな技術資格です。
▶︎詳細はコチラをご覧ください。
2. EMC業界では珍しい、柔軟な考えを持っています
これは全員に共通する、、というより、徐々にスタッフ間に浸透してきていることといった方が正しいかもしれません。
根底にあるのはお客様ファーストの精神です。私たちは「お客様のために何ができるのか」を常に考え、行動します。
お客様のご要望はどんな難しいことであっても、まず「どうやったら実現できるのか」あらゆる方向から検討します。
もちろん、検討した結果、最終的にお断りすることもありますが、視点を変えた“EMC業界の常識に囚われない方法”をご提案し、成功した事例も数多くあります。
規格や決まり事などルールで縛られたEMC業界では、ちょっと異質な存在かもしれません。
でも、だからこそできることがあります。
「他で難しいといわれた」「断られた」という方もまずはお気軽にご相談ください。
技術者紹介
奥 良美
中部センター EMC技術課 課長
Q.デンケンに入ったきっかけやそれまでの経歴は?
3年前の試験場開所に合わせて入社しました。
EMCに関わるのははじめてだったのですが、それまで回路設計に30年弱携わっていたので、大きな意味でベースの知識はあった、、、という感じです。
そこからiNARTE取得のために勉強をはじめ、2年目で合格できました。
Q.自分の特徴、強みは?
考え方が柔軟なところです。
EMC業界はどんな些細なことでもルールが明確に定められており、融通が効かないのが一般的。もちろん、それが悪いという訳ではありません。規格があれば、そこにルールが発生するのは当たり前の話です。
ただ、ルールに固執するとどうしてもお客様のご要望に沿えない部分が出てきます。
私はソフトウェアの開発を30年弱やってきたのでルールに縛られないというか、考え方の方向性が少し違うんです。例えば、お客様が試験を希望する日に、その試験をするために必要な電波暗室が空いていないとします。
普通はそこでお断りすると思うのですが、私は「それなら、電波暗室の代わりになる場所を探せば良い」という発想になる。
そして、実際、事務所を簡易的な電波暗室する方法を見つけたり、常に“お客様の要望をどうやったら具現化できるのか”を優先して考え、動いています。
お客様にも「他では無理だったことが解決できた」と喜びの声をお寄せいただくことが多いです。
Q.どういう思いで仕事に向き合っていますか?
私たちの仕事、EMC試験は社会において非常に重要な役割を担っています。
例えば、中国の温州市鉄道衝突脱線事故を覚えている方はいるでしょうか?これは2011年に起こった列車の衝突・脱線事故で、最終的に40人の死者を出す大惨事になりました。
原因は簡単にいうとソフトのバグ。そこには「EMC試験の評価が足りていない」「検査不足」「しっかりデバックができていない」などいろいろな要因が複雑に絡んでいたのではないかと思います。小さなミス、見逃しが重なって、大事故につながったのです。
そういった観点から、EMC試験を行う際は、絶対にミスがないよう、細心の注意を払っています。誤作動に直結するイミュニティ試験(製品に電磁波を与え、誤作動の有無を確かめる試験)はもちろん、一見事故にかかわる部分とは関係ないように思える試験も事故の原因になる可能性があると肝に銘じ、取り組んでいます。
これは全ての技術者が絶対に忘れてはならないことだと思っています。
伊藤 浩之
中部センター EMC技術課
Q.デンケンに入ったきっかけやそれまでの経歴は?
元々自動車の検査工場で働いていました。
検査の技術には自信があったので、それを活かせる会社に転職しようと思い、航空機部品(飛行機の羽根)の製造メーカー、車載のEMC試験を行っている会社を経て、1年前デンケンに入社しました。
車載のEMC試験を行っている会社では、お客様対応を任せてもらっていたので、デンケンでもその経験を活かし、試験対応プラス、お客様対応を行う窓口業務を行っています。
Q.自分の特徴や強みは?
私は窓口業務を担当しており、お客様とお話しする機会が多いので、「どうやったらお客様に気持ちよく試験を終えていただくか」を第一に考えて行動しています。
あらゆることをお客様目線で考え、お客様のご希望プラスαのご提案ができるよう、常にアンテナを張っている、、、という姿勢がお客様に取ってメリット(=強み)になっていると思います。
例えば、試験で思うような結果が出なかった場合、「残念でしたね」で終わらず、「こういう風にしてみたらどうでしょうか」とご提案することが多いです。
それでいい結果が出て、お客様から「そのやり方は気づかなかった、ありがとう」といわれることに大きなやりがいを感じています。
試験以外の部分も同じです。送迎の際にお困りごとを聞き、試験場に着いたら先回りして解決しておく、お食事の際はお迎えに上がるなど、常にお客様に寄り添った対応を心がけています。
Q.どういう思いで仕事に向き合っていますか
自動車事故のニュースなどを目にするたび、「評価が不足して事故につながったのではないか」「私たちは絶対にそんな結果を招いてはならない」と考えます。
そのような惨事を防ぐ意味でも、試験で不具合を見つけること(=事前に事故を防ぐこと)がやりがいになっています。課題解決だけでなく、課題発見に喜びや達成感を覚える―これは技術者のサガかもしれません。
パソコン上で確認できる不具合を見つけるのは簡単ですが、LEDの点灯・点滅であったり、人の目で確認しなければならない不具合の発見にはスキルが必要です。
日々研鑽を積み、技術向上に努めています。
強み④:試験代行、24時間対応など、細やかなサービスを実施しています
デンケンはお客様に気持ちよく試験に臨んでいただけるよう、さまざまなサービスを実施しています。
①ご希望に応じて、デンケン社員が試験を代行します
EMCの試験サイトは、部屋や機材を提供して「あとはお好きに使ってください」という、いわゆる”部屋貸し”のところがほとんどです。
もちろんデンケンも”部屋貸し”を行っていますが、ご希望に応じてデンケン社員が試験を代行することも可能です。
試験の代行はお客様にとって、手間が省ける、より正確な試験ができるなどのメリットがあります。
②24時間対応で試験を行います。急ぎの案件もお任せください。
弊社スタッフが代行して24時間体制で試験を行うことができます。
例えば、通常10日かかる試験を24時間体制で行うことによって、半分の5日で終わらせることも可能です。
状況に応じて細やかに対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。
③快適な環境で試験ができます。
お客様が快適な環境でストレスなく試験が行えるよう、車での送迎等を行っているほか、お客様専用の待合室もご用意しています。
デンケンの主な対応規格
以下は主な対応規格です。記載以外にも対応できる規格がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
【車載関連規格】
- ISO10605:静電気
- ISO11452-2:アンテナ照射
- ISO11452-4:BCI
- ISO11452-5:ストリップライン法
- ISO11452-8:磁界イミュニティ
- ISO11452-9:近接放射イミュニティ試験法
- ISO16750-2:電気負荷
- ISO7637-2:過渡伝導 イミュニティ
- ISO7637-2: 過渡伝導 エミッション
- ISO7637-3:クランプ法 (CCC 法)
- ISO7637-3:直接容量結合法 (DCC 法)
- CISPR25:伝導エミッション(電圧法・電流プローブ法)
- CISPR25:放射エミッション
その他、各種車載メーカ規格多数
【民生規格】
- IEC61000-4-2:静電気放電イミュニティ試験
- IEC61000-4-3:放射無線周波数電磁界イミュニティ試験
- IEC61000-4-4:ファストトランジェント バースト イミュニティ試験
- IEC61000-4-5:雷サージイミュニティ試験
- IEC61000-4-6:伝導イミュニティ
- IEC61000-4-8:磁界イミュニティ試験
【半導体規格】
- IEC62132-4:DPI 法
- IEC61967-4:150Ω 法
- JASO D 019:DPI 法、 150Ω 法
- JEITA ED5008:DPI 法、 150Ω 法
まとめ
正直、対応規格や、設備面で弊社試験場に勝るところは多いと思います。
でも、私たちには他にはない、そしてお客様にとって非常にメリットの大きい【強み】があります。
<デンケンのEMC試験場の強み>
EMC試験以外もトータルでサポート- 全国的にも珍しい半導体のEMC試験に対応
- 高い技術と柔軟な考えを持ったスタッフが臨機応変に対応
- 試験代行、24時間対応など細やかなサービスを実施
開所してたった3年の試験場が確かな地位を確立できたのもこの【強み】のおかげに他なりません。
お客様ファーストの精神、フットワークの軽さでこれらも多くのご要望にお応えしていきたいと思っています。
EMC関連、その他でお悩みのことがあればぜひお気軽にご相談ください。
もちろん、相談だけでも大歓迎です。