今回は、半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】で解説した中から、DPI法・150Ω法での等価性評価においてパスコンの数や定数による影響を解説し、評価時のパスコンの条件についての考え方を解説します。
DPI法でのパスコンの差による影響事例
パスコンの定数を変更してDPI法で評価した結果を示します。この評価では試験環境の最大印加電力は32dBmです。
2.2μFのパスコンを実装した条件では、最大電力を印加しても、広い周波数範囲で誤動作が確認できていません。一方、0.1μFのパスコンでは2.2μFの結果より、誤動作する周波数が広く確認できます。
この0.1μFのパスコンで等価性評価を行った結果、ノイズ大量の特性が広い周波数範囲で比較できるようになりました。
このように等価性評価においては、推奨動作条件とされているパスコン容量では、誤動作が生じなくなる場合があるため、DUTが正常動作する範囲内で容量を削減することで、比較品と対象品の誤動作の比較が可能になります。
150Ω法でのパスコンの差による影響事例
150Ω法についてもパスコンの影響について解説いたします。パスコンを実装した場合と、実装していない場合の結果を比較します。
パスコン有りでは、ノイズレベルが全体的に抑えられています。特に80MHzではスペクトルが評価できません。パスコン無しでは、ノイズがコンデンサにバイパスされること無く、DUTのノイズがより顕著に評価できています。
パスコン無しの状態で、等価比較を行った結果、ノイズを顕著に検出できるので、等価性の比較ができ、差分がどの程度あるかを確認する事ができます。
このように等価性評価においては、推奨動作条件とされているパスコン容量では、ノイズが抑えられる場合があるため、DUTが正常動作する範囲内で容量を削減することで、比較品と対象品の比較が可能になります。
パスコンの選定
上記で解説したように、パスコンの数や、定数の選定をしていく必要がありますが、より顕著にノイズを測定するために、より誤動作を起こさせるために、パスコンを削減しすぎると下図のように正常動作しなくなってしまい、正しく測定できません。
正常動作で且つ、適切な評価が可能な定数を見つけるために、事前測定を繰り返し行い等価性の比較に最適なパスコンの定数を設定する必要があります。
まとめ
今回、等価性評価におけるDPI法、150Ω法でのパスコンの差による事例を紹介しました。 DPI法では誤動作が発生する状態に、150Ω法ではノイズスペクトルが顕著に観測できる状態となるよう、パスコンを選定する必要があります。しかしパスコンの適切な定数は製品によって異なるため、事前の評価が必要になってきます。
デンケンでは、評価基板の設計から行っておりますので、事前評価可能な基板を設計させていただきます。